2010年04月30日

犬のお手入れについて

今回は犬のお手入れについて、お話し致します。
だいぶ暖かくなって、犬達も衣替えの季節となりました。

犬は本来、ダブルコートといって二つの毛から成り立っています。
雨風をしのぐ上毛をオーバーコート、体温調節に使う綿毛のような下毛をアンダーコートと呼びます。

しかし、犬種の改良によって毛の状態に変化してしまった犬種が多く居ます。

ダブルコートではなく、アンダーコートがなくなりオーバーコートしかない
一枚毛の、いわゆるシングルコートと呼ばれている毛を持った犬達も居ます。

ダブルコートである犬は、季節の変わり目にアンダーコートが抜け落ち、
季節に合わせたアンダーコートになります。
例をあげますと、柴犬などの日本犬、ダックスフント、チワワ、ポメラニアン、
シーズー、シェットランドシープドッグ、キャバリア、ウェルッシュコーギー、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、剛毛テリアなど。

冬に向かう時には厚手のアンダーコート、夏に向かう時には薄手のアンダーコートになります。
まるで、人間が衣替えをするようですね。

ダブルコートの犬達は、季節を素早く察知します。
人間が、最近ちょっと暖かくなったなぁ、なんて思っていると、急に抜け始めたりします。
本来は、この換毛期に一気に抜け落ち、一時期は毛がスカスカになり別犬か?と思うほどになり、そして次の良いアンダーコートが生えてくるのであります。
このような理想的な換毛であると、他の時期にはあまり抜けてこないのです。
この換毛期に、抜ける毛はしっかりと抜いてしまわないと、次の良い毛が生えてきませんし、
そのままにしておくと、抜け毛が絡み毛玉になり、後に大変なことになります。

しかし、最近は室内で共に生活している犬が多く、エアコンや暖房が完備されていると、
常に一定気温になっているせいで、この季節感をまったく感じずにこの換毛が来ないで、
一年中、パラパラと抜け毛のある犬が多く見受けられます。
一年中、抜け毛に困らされるというのはこのようなことが原因だと思います。

「うちの犬は毛が抜けて困るわ!」

なんて、言わないであげて下さい。

人間も髪の毛は1日で100本は抜けていると聞きます。
犬は全身ですから、許してあげて下さい。

そして、シングルコートの犬はアンダーコートがないので、換毛期はなく、
基本的に抜け毛はありません。
毛が抜けることが気になる方は、シングルコートの犬種をお飼いになることをお勧めいたします。
例をあげますと、小型犬であればプードル、ヨークシャーテリア、マルチーズなどです。
とはいえ、このような犬たちは毛がずっと伸びてしまいますので、トリミング(カット)が必要になります。

さて、では日頃のお手入れについてですが、皆さんご自宅でお手入れはされていますでしょうか?
長毛犬種であれば、トリミング(カット)の必要がありますのでトリマーさんにお願いしている方がほとんどだと思います。
でも、だいたい月に1回のトリミングに出す以外はご自宅でブラッシングをされていない方多いのではないでしょうか?

ご自宅で一番やっていただきたいお手入れは「ブラッシング」です。

よく、「おうちでお手入れをされていますか?」と伺うと、
「いつもシャンプーはしています!」
と、お答えになる飼い主さんが多いのですが、そのお言葉を聴いた瞬間、
私たちトリマーは、「先行きが怪しい…」という気分になるのです。

なぜかと言えば、シャンプーの前にブラッシングをきちんとし、もつれのない状態で洗わないと、後に大変なことになるのです。

どのようなことになるかと言うと、まず、ブラッシングをされずに毛が絡まった状態でいると、そこからまたさらに毛が絡まり、いわゆる「毛玉」というものになり、毛が固まってしまいます。
そして、その状態でシャンプーをしてしまうと…
セーターを編む毛糸が絡まった状態で水に漬けると、どのようになるかお分かりになりますか?
ガチガチに固まり、マット状になってしまうのです。
犬の毛も同じ状態になります。

要するに、毛が絡んでいる状態で洗ってしまうと「大毛玉がマット状」になり、
それを何度も繰り返すことにより全身、マット状に毛が体に張り付いてしまうのです。

マットになっている状態でシャンプーをすれば、その下の皮膚にシャンプー剤が残ってしまったり、きちんと地肌まで乾かなかったりで、皮膚炎を起こし、痒がったり皮膚病にもなりかねません。

シャンプー後に本来はブラシを使い、毛と地肌までをきちんと乾かさなければならないものを、ご自宅では、ドライヤーで表面だけ乾かされ、
中途半端な状態でいると、さらに毛玉がひどい状態になります。
このような状態で、トリミングに連れてこられると、これを梳かすとなると大変な作業になります。

この毛玉を梳かすには時間がかかるだけでなく、状態が悪くなっている皮膚に対して
毛玉を梳かすためにブラシが通常よりも強く当てる必要があり、
皮膚をさらに痛め、真っ赤になってしまい、犬にも苦痛を与えます。


トリマーさんは犬の為を思いやむを得ず、バリカンなどで短く刈ることをお勧めせざるを得ないのです。
もちろん、多少の毛玉であればトリマーさんはブラッシングなどの技術で、
上手く取り除いてくれます。


しかし、毛玉が多かったり、毛玉がマット状になっていると、毛玉と皮膚の間には数ミリ程度の隙間しかなく、
それをはさみで切ると言うことは不可能なので、
その数ミリの隙間に、バリカンの刃を入れて刈って行く他にないのです。

たまに、ご自宅で毛玉を切ろうとした飼い主さんが、皮膚まで切って大怪我をさせてしまった、という話を聞きます。


では、その毛玉にしないようにするには、どうしたら良いのか?

それは、日頃からのブラッシングが大切です。

シャンプーよりも、ブラッシングです。

まずは、トリミングから帰ってきた時には綺麗になって、もつれや毛玉はないはずですので、その時から始めてみるのがワンちゃんも痛がらないし、一番やりやすい方法です。

毎日、少しずつで良いのです。毎日が難しければ、2,3日に一度でも良いです。
一回に全身でなく、部分的に分け、毎日少しずつでも良いのです。

または、日頃、犬の体全体をくまなく触り、毛玉になっていたり、ブラシを通して引っかかりがあったり、ちょっとブラシをかけたら痛がった、などという場合には「毛玉要注意信号」です。

ブラッシングには、毛種によって、使うブラシが違います。
くしをすぐに使うのは犬にとっては苦痛になります。
人間も毛が絡まったところに、くしで引っ張ったら痛いですよね?

通常は、ピンがまっすぐゴムに植えられた、ピンブラシ

小さな毛玉をほぐしたり、巻き毛であるプードルなどをブラッシングする時には、針金が「く」の字に曲がった、スリッカーブラシ
これらのブラシで、もつれがないか、確認するのがコームと呼ばれる、くしです。

ピンブラシやスリッカーを使い、梳けたと思ったらコームを通してみてください。
もしも、スムーズに通らない場合はすぐにもとのブラシに持ち替え、そこをもう一度コームが通るまでしっかりとブラシで梳かすのです。

その繰り返しで少しずつ梳かしていきます。

もしも、小さな毛玉があったら、先に指で少しほぐし、その後ブラシで
少しずつほぐしていきます。

コームで引っ張って取ろうとすると、根元から毛が引っ張られ大変痛い思いをし、
ブラシを見るだけで逃げ出すようになってしまいます。

ブラシの持ち方は、ピンブラシ、スリッカーブラシ共に、決して握り締めて強い力で持たないようにして下さい。

そして、ブラシを持つ反対の手で毛を分け、毛の根元を出しブラシを当て、毛先まで梳かします。

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スリッカーブラシは地肌と常に平行に使用して下さい。
斜めに地肌に当たると非常に痛い思いをします。

DSC_0052.JPG



短毛種においては、イノシシや豚毛からできている「獣毛ブラシ」を使ってブラッシングをしてあげると、艶も出て、抜け毛も落ちとても綺麗になります。

文章だけではわかりづらいと思いますので、ペットサロンなどでも開催されるお手入れ教室に参加されたり、トリマーさんにご相談されると良いでしょう。

毛玉かも?と思ったらできれば、すぐにトリマーさんにご相談下さい。

トリマーさんは、ご家庭では難しいシャンプー後の乾かし(ドライング)をブラシを使ってきちんとすることにより、被毛を根元から開かせフワフワやフサフサにもしてくれます。

もちろん、カットもですが、これはご家庭では難しい、
トリマーならではの技術と経験からなしえる技です。

また、トリミングをお願いすると、作業の過程で飼い主さんが見付けづらい、毛に埋もれた皮膚のトラブル、できもの、怪我、
または健康状態の異常までも、プロの目から見て気が付いたことがあれば飼い主さんにお知らせもします。

ご家庭でシャンプーをしなくてもブラッシングをするだけで、ほこりや汚れが落ち、もちろん、もつれも取れてとっても被毛が綺麗になります。

被毛だけではなく、ブラシを地肌に当てることにより血行を促し皮膚の新陳代謝が活発になり、健康状態も良くなります。
皮膚の健康状態が良くなると、被毛の状態も綺麗になります。

また、ブラッシングが気持ちが良い事がわかれば、犬もブラッシングが好きになります。
スキンシップのひとつにもなり、愛犬との良い関係作りにもなります。

今までブラッシングがあまり良い印象でなかったワンちゃんには、ブラッシング後に少しだけごほうびのおやつと、たっぷり褒めてあげましょう。

犬のお手入れは、トリマーさん任せだけではなく、日頃からのご家庭でのブラッシングで健康維持
そして、技術を必要とするシャンプー、トリミングや皮膚や被毛のチェックはプロのトリマーさんに定期的にお願いをし、愛犬の皮膚と被毛の健康を保ってあげましょう!

ニックネーム nyo at 20:49| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする